だま氏の解いた問題たち

解いた問題で良問だったものを載せます

2019JMO代表選考合宿参加記 ~試験編~

dama-solved.hatenablog.com
の続きです.
ここにあるように代表選考の問題については一定期間公開が禁じられていますが, その期限が過ぎたため, 書けます.
問題はhttps://www.imojp.org/archive/mo2019/selection_camp/problems/2019.pdfにあります.
(今年から代表選考の問題がホームページに公開されたようです. 感謝. )
fuma-maple.hatenablog.com
を見て, そういえば書いてなかったし僕も書こうと思って書きました.
この記事と併せて読むのがいい気がします.
半年以上前のことを思い出して書いてるので, 間違ってるところがあるかもしれません. ご了承ください.
また, 問題のネタバレをされたくないひとは読まない方がいいと思います.

1日目

試験

問題をざっくり見る.
1問目はNで, 普通の問題感がある. 2問目は数列か…最近対策してきたしできたらいいな. 3問目はG. 一応自分の得意分野となってるし(←JMO予選もJMO本選もAPMOも0点のお前が何言ってんだ), 1問目をまず片づけて, 2問目と3問目を同時に考えていくか~
1問目はいろいろ頑張ったらできた. \(s\)が存在しない場合は簡単に見つかる. そうでないときは, \(n,k\)を素因数分解してわちゃわちゃやって\(s\)を構成する. 解答を書くの面倒くさいなあ. 使う文字の種類がかなり多くなった. 自分は解答を書くのに時間を使ってしまうタイプなのでこういうのは辛い.
で2問目と3問目を同時に考えていくか. とりあえず3問目の図を書く. 3番級でよくある3対称の難しい系かと思ったけど, 円が\(P\)で接することが予想できるし, 角度計算もしやすいし, 議論を進められそう.
というわけでいろいろangle-chaseをしていく. そして2ステップくらいで解けた. 3番級が解けたのは大きい. やったね.
と言っている間に同時並行で考えていた2問目, あまり進まない…よくわからない予想を立ててみたけど, その証明はできないし, その予想から本題も示せないし, なにやってんだ, という感じだった.
試験終了. やっぱりAは難しいね…対策が甘かった.

試験後

みんなの出来. 1問目はまあできるよね, という感じだった. そして2問目と3問目はどちらか1問を解いた人が多かった. 両方できた人はほぼいなさそう.
3問目は複素で解いた方が多数派らしく, 初等で解いた人は僕とmaple氏しか見つけられなかった.

点数は7, 0, 7だった. 2問目で部分点が来なかったのは悲しい. まああんな雑な議論だったら部分点こないか…
強化合宿で解説を聞いた. 2問目, 予想のステートメントをもう少しかっちりさせたらうまくできたらしい.

2日目

試験

4問目(1番級ですが, 2日目なので4問目になります)はFE. 足し算がない. あと\(\mathbb{Q}^+\rightarrow \mathbb{Q}^+\). まあ1番級なので焦らずやろう. 5問目はNで小問がある. そして6問目はC. ヤバそう. 6を捨てて4と5をやるか~
まず4問目. とりあえずいろいろ代入していったら, 任意の\(x\)において\(f(x)=f(y)^2\)なる\(y\)が存在することがわかって, さすがにずっとルートするのはヤバいので, 全部1. こういう問題を見たことがあったのでさっとわかった気がする.
5問目に移る. これに集中しよう. (1)と(2)のどちらかが成り立つことは証明できるのになあ~~~()
ここで, 良い数の相異なるものの和として表される整数を「まあまあな数」とする, 絶妙なネーミングセンスを発揮する.
さんざん格闘する挙句, まあまあな数があったとき, それから良い数をいろいろ引いたり足したりするとより小さいまあまあな数になることが分かった. これで(1)は解けた. あとは(2).
ここで(1)で使った議論を, 不等式評価を使って逆にやっていけば(2)もできることに気付く. やったー!
解答を書いて, もう数十分しか残ってなかったので, 6番の自明な構成っぽいものを書いた.

試験後

4問目は多くの人ができていたらしい.
5問目はあまりできた人が多くなさそうだった.
6問目はきおな氏だけが解けていたようで, 後ろでもチューター達が頭を抱え込んでいたらしく, 安心した.
しかも構成もやや非自明で, 自分の書いた構成は間違っていたらしい.

点数は7, 7, 0だった. 6問目の解説, なるほどな~, やはり組み合わせには厳しいものがあるなと実感した.

3日目

試験

7問目はC. 1番級のCって嵌ったら怖いやつだよなあ(←フラグ). 式もぎょっとするし. 8問目はG. さすがに解いておきたい. 9問目は多項式で, AかNかよくわからないけど, ステートメントが綺麗だなあってなった.
まずは7問目をやる. よくわからないので実験する. うーん, あまりつかめてこないし, むずそう.
8問目に移る. とりあえず図を書いて, やりたいことが見えてきたので補助線とか書いて…とやったら15分くらいで解けた.
多項式が好きなので9問目に手を付けてみたが, 考えれば考えるほどこれはヤバい問題だと実感した. どこから手を付ければいいのかさっぱり. 窮地に追い込まれた気分だった. 7問目を解かなきゃいけないのか~~
7問目で実験に実験を重ねるが, 全く手がかりが見えてこない. やばい…
8問目の解答を書いたり, 9問目でどうしようもない考察をしたりして気分転換をしながら, 7問目の考察をする.
そして2~3時間くらいたった後, ひらめきが下りてきた. これだ!!!
結局解答用紙の上半分に書いたとりとめのないことに大きく×印をして, そして証明は下半分しか使わなかった. こういう一発ゲーの問題, 思いつかないと辛いものがある.
9問目は何もわからない.

試験後

大荒れ. 7問目で嵌った人が少なくなかった. また, 8問目も実はそんなに簡単ではなかったようだったし, 9問目に至っては全然議論を進められた人がいなかったどころか, 分野もみんなわからなかった.
8問目はMiquel点を使っても解けるらしい. むしろそちらの方が多数派だった気がする.
試験前に演習でMiquel点が扱われたため, 救われた人が何人かおり, Miquel点がトレンドになった.

得点は7, 7, 0だった. まあそうだよね. 9問目はNだったらしい. 解説を聞いたがやはり難しい問題だと感じた.

IMOの代表に, 去年の1番級Aと今年の1番級C(この7問目)でともに嵌った人が2人いたため, IMO中ずっとネタにしていた.

4日目

今日は2番級Cがでるのか~. やだな~. という気分だった.
A, C, G, Nの4分野があるが, 4日全体で1番級, 2番級, 3番級に1分野ずつ出ることになっているので, 最終日はだいたい分野がわかる. 9問目のおかげで12問目の分野はわからないけど…
1番級Gをさっと解いて2番級か3番級を考えよう. という作戦だった.

試験

まず10問目に取り掛かる. さすがに5分で解けるやろ~~というナメくさった態度だった気がする.
あれ? あれあれ? ? なかなか解けない.
嵌ってる感あるな, ということで11問目に動く. ゲームで楽しそう. (1)はちょっと考えたらわかったけど, (2)についてはあまりわからないし, 難しいのかなと感じた.
12問目は面白そうだけど, あまり有効そうなことはできなかった.
10問目と11問目を行ったり来たりしていた. そのうちに10問目でうまい補助点を取ることができ, すっきり解くことができた. これいいなあ(一発ゲーだけど).
11問目に取り掛かる. 必勝法が思いつかないので, 小さい場合においてゲームの状態を全部書いてグラフを書いて, 脳筋で実験した.
そしてその実験が功をなして必勝法が見えた. 実験のおかげでかなり時間を使ってしまった(ここまで3時間半くらい?)が, 解けたのでヨシ!
12問目は, 虚無で解答用紙を埋めていた. ワンチャン部分点あるか!?という気持ち.

試験後

10問目も荒れていた. 一発ゲーは悲劇を生む…
11問目はみな出来が良かった. ずっと2番級Cで差がつくと思っていたので, 予想外だった.
12問目もみなあまりできていないようだった.

得点は7, 7, 0. さすがに12問目で虚無だけでは得点にはつながらなかった模様.
12問目は, 重要な関係式を2つ作る必要があり(1つはすぐ見つかるが, もう1つはなかなか見つからない), そこから次数下げをしていくと解けるということだった.

総合

56点. 全体としては上出来?
7点と0点しかなかったのも興味深い. 減点されない解答を書いたともいえるし, 部分点を全く取れなかったともいえる.

代表の中で最高点は62点, 最低点は45点.