だま氏の解いた問題たち

解いた問題で良問だったものを載せます

京大理学部特色入試サンプル問題の雑な解説

雑な解説ですみません

問題

1

これはそんなに難しくない気がします.

(1)
最長の辺に注目すると, ほかの3辺の長さの合計がそれより大きくなることが必要十分なのがわかると思います. 必要性は明らかで, 十分なのは適当に構成できることからわかるはず.

(2)
\(AB+BC>CD+DA, BC+CD>DA+AB\)となるように\(a,b,c,d\)を\(AB,BC,CD,DA\)に割り当てられます。
こんな感じで辺を連続的に動かしていって, 対角の和が180°となるときが存在するのは中間値の定理を使えば示せます.
f:id:yootaamath:20191023165223p:plain:w500

2

これもそんなに…?

(1)
(1)の問題文で出てきた事柄がその前に書かれた事柄に関係ないので, (2)の準備だろうなあってなります.
というかこれ積分の形のコーシー・シュワルツの不等式です. 知ってる人もいるはず…
任意の実数\(k\)において\(\int ^1_0 (|f(x)|-k|g(x)|)^2dx\geq 0\)となることを利用して, これは\(k\)の2次式(追記: \(k^2\)の係数が0になることは別個処理)なので, 判別式を見るとなんとこれが示せます.

(2)
(1)を使うことを考えます. また\(\int^1_0 dx/f^2\)の値が設定されてることもヒントにできます. ここまでヒントが与えられたら…という気持ちです.

3

これ思いつかないとつらいですよね. All or Nothingな問題な気がします.
例えば\(a_n={\rm ord}_2(n)\)(ただし, \({\rm ord}_2(n)\)で\(n\)が2で割れる最大の回数)とするとうまくいきます.
どうやって思いつくかっていう話なんですけど, 自分の場合, 周期的でないためちゃんとイレギュラーな項がたまに出てきてほしくて, でも周期性っぽいものも持ち合わせている…と考えたら思いつきました. 慣れに依存しているところもあるんですが…

4

これは整数論に慣れていないとちょっと難しい気がします.

(1)
どうせ帰納法やろ~~ってなって, 実際それでいけます.
\(b_{n+1},c_{n+1}\)は\(b_n,c_n\)で表せるので, 初めのほうの項を計算して, いい感じに\(a_n\)で表す予想を立ててみて, 帰納法を回せばいけます.

(2)
はじめ(1)を使った方法を考えてみるのですがあまりうまくいかないので, これは別個で考えるのかな, となります.
\(p=a_m\)とおきます(自分の場合素数は\(p\)のほうが慣れてるので…)
\((1+\sqrt{5})^{p^2}\)の1の項と\(\sqrt 5\)の項(語弊があります, 答案ではちゃんと書きましょう)がともに\(p\)で割って1余ればよいです.
気持ちなんですけど, \(p\)乗の展開は\(\bmod p\)でやりやすいです. というのも\(1\leq i\leq p-1\)のとき\(p|{}_p{\rm C}_i\)なので.
\begin{eqnarray}
(1+\sqrt{5})^{p^2}&=&((1+\sqrt{5})^p)^p \\
&\equiv& (1+5^{(p-1)/2}\sqrt{5})^p \pmod p \\
&\equiv& 1+5^{(p^2-1)/2}\sqrt{5} \pmod p \\
\end{eqnarray} と計算でき, フェルマーの小定理を使えば(2)も示せます.

(3)
いよいよ(2)を使いそうです. 数列の周期に注目するとできそう.
重要な考察なんですけど, \(a_1,\dots,a_{m- 1}\)は\(p=a_m\)の倍数でないので, \(a_m\)は\(p\)の倍数になる初めての項ということができます. これを使えばできます.

参考1

これは難しいです. たぶんサンプル問題・参考問題全6問の中で一番難しいです.

問題文は長いですけど読んでけばイメージがつかめると思います.

重要なこととして問題の操作は可逆です.
なので問題をシンプルにするために, 任意のパスを, 操作を繰り返してまっすぐにすることを考えます. これが可能だと示せたなら, 任意のパスを\({\bf A},{\bf B}\)とするとき, まっすぐなパスを\({\bf I}\)とすれば\({\bf A\rightarrow I\rightarrow B}\)とできるためOKです.

なんとなく, 先っぽからほどく感じでいけばできそう…と思うのですが, 図みたいにぐるぐる巻きにされているのもありなので, この方針だとつらいなあってなります.
f:id:yootaamath:20191023165304p:plain:w250
でいろいろ実験してみて気づくのですが, 終点が右上の角にない場合は, 図のように, 終点からたどって一番右(もしくは上)にくるまでの部分を左右(上下)逆にするという操作をできることがわかります. この操作をAとします. そしてその操作によって縦の長さと横の長さはどちらかが増加するので, この操作は無限に繰り返せず, よって終点が右上の角に持ってけるなあ, ってなります. 右上に来た場合は図のように最後の曲がり角のところでまっすぐにできます. この操作をBとします.
f:id:yootaamath:20191023165329p:plain

しかしまだ解答にはたどり着かないです. 操作を終えられるかわからないし, 操作の回数については全然です…
というわけで私はうまい量を探しそれに注目しました.

「縦の長さ+横の長さ」と「曲がり角の数」に注目してみます.
すると「縦の長さ+横の長さ」は操作Aで必ず増加し, 操作Bでは変わらないか増加します(図参照).
(追記: 初めに、始点にいちばん近い曲がり角を第1象限にもってかないとそうならないですね. なので最初に持ってきましょう. 定数回で終わるのであまり影響しないです. )
またこれの最大値はパスの長さとなります.
f:id:yootaamath:20191023165354p:plain:w500
「曲がり角の数」は操作Aで不変で, 操作Bで必ず1減少します.
これで操作の回数を評価でき, (1)と(2)が解けたことになります. (操作できない⇔パスがまっすぐ, なので)

全然言葉の定義をせずにここまで話しましたが, 答案では適宜言葉の定義をして論証を進めていきましょう.

参考2

(1)が地味に難しい感がありますが, 頑張りましょう.

(1)
日本語から式へ対応させるアルゴリズムを作るイメージで.

(2)
適当に漸化式を立てて計算. 求めるべきものは小さいのでごり押しでもいけないことはないです.

(3)
\(X^{(2^2)}=(X^2)^2\)に注目. そのような部分があることを帰納法で示す.