だま氏の解いた問題たち

解いた問題で良問だったものを載せます

2019 JMO 予選 解説・感想

これから受験記はこちらのブログで書くことにします.
2018→2018JMO受験記 - 数学徘徊記

意気込み

今年は予選免除なのですが, せっかくなので頑張ってみます.
2ケタの点数を取りたいですね.

結果

7点でした. 不甲斐ない結果…
幾何の問題(4, 8)を計算ミスして両方とも間違えたのが痛いですね…

全体の感想

今年, 去年に比べて難しくないですか??
3, 4, 6番に骨のある問題があってきつかったと思います.
幾何が得意なつもりだったので問10に特攻しましたが自分のほうが砕けました…

そういえば最高点8点なんですね, やばくないですか?

解説

思考過程を書こうかな…

問1

31が\(x\)の倍数となるので\(x=1,31\)ですが\(x=31\)はさすがにダメなので\(x=1\)です.
すると\(y(1+z)=30\)となるので\(y,z\)も容易に列挙できます.
JMO予選の割にはかなり簡単かな…?

問2

一の位で場合分けすると5にしかならないことがわかります.
また2乗して5桁になることより百の位が2になることがわかります.
あとは4つすべて試します.

問3

これ見た目つらそうだったので飛ばしてあとのほうにやりました.
意外と少ないですよね…
自分は1と9の位置で場合分けしました.
1と9は3つ以上離れてないといけないので場所が3通りに決まって, あといろいろ考えると大体の数字が決まることがわかります.
中心の数で場合分けする方針もあるようです.

問4

計算ミスしました(なんで???)
自分の実力ですね…
まあ平行をいろいろ作って比で計算するだろうなあ, という気持ちになりました.
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図のようにおけば, \(x:(4-x)=5:(x-1)\)となって, あとは2次方程式を解けばよいです.

問5

3倍して1を足すとおしまいです, 問5の割に簡単?
求める数を\(n\)とおくと\(3n+1\)は97, 100, 103の倍数になるので, \(n\)が最小だということを考えると\(n=\frac{97\cdot 100\cdot 103 -1}{3}\)です.

問6

これ細かいところを詰めるのが若干大変です. ちょっと手こずりました.
問題文では正120角形ですが, 頂角18°の二等辺三角形を考えると, 正20角形が6つと考えてよいことがわかります. それらの正20角形は互いに影響しないので. このように単純なものに分解するのは重要だと思います.
ここで図のような星形を考えると, 3つの連続した頂点は同じ色であってはいけないことがわかります. もし14個以上頂点があれば, 平均\(14/20\times 3>2\)個3つの連続した頂点上に黒い点があるので, ある3つの連続した頂点上には3つ黒があることがわかりダメです.
星形に沿って白黒黒白黒黒白…と塗り分けていけば13個の構成ができます.
よって答えは13×6=78です.
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問7

これ結構悩んでしまいました…最後に解きました
本番エスパー解法で解きましたが(答えはあってるものの)嘘解法なのでここでは書きません, すいません…
\(P(x)^2=(Q(x)+R(x))(Q(x)-R(x))\)という式変形が重要です.
これで十分→JMO予選2019問7 | 凸レンズの部屋(仮)

問8

これもミスしました…なぜかずっと\(BC=8\)とやってました.
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ちょっと幾何的なことをした後ごり押しでやりました
もっと計算簡単にいけるかもしれません…
三角形\(ADIE\)に注目すると, \(AD>AE,ID=I E,\angle DAI=\angle EA I\)なので円に内接します. よって\(\angle BAC=120^\circ\)を満たします.
このあと, 感覚的には点\(M,I,A\)の横のずれに注目して解いていきます.
\(AB=x,AC=y\)とおきます. すると
\[\begin{eqnarray}
BP&=&\frac{x-y+9}{2}\\
BM&=&\frac{9}{2}\\
MP&=&\frac{x-y}{2}\\
MQ&=&\frac{9(x-y)}{16}\\
BQ&=&\frac 92+\frac{9(x-y)}{16}\\
C Q&=&\frac 92-\frac{9(x-y)}{16}\\
\end{eqnarray}\]がわかり, 三平方の定理より
\[\begin{eqnarray}
AB^2-BQ^2&=&AC^2-C Q^2\\
x^2-\left(\frac 92+\frac{9(x-y)}{16}\right)^2&=&y^2-\left(\frac 92-\frac{9(x-y)}{16}\right)^2\\
x^2-y^2&=&4\cdot \frac 92 \cdot \frac{9(x-y)}{16}\\
x+y&=&\frac{81}{8}
\end{eqnarray}\]がわかります.
あと余弦定理より\(x^2+xy+y^2=81\)なので連立して解けば\(x=AB\)がわかります.

問9

これ大好きです, 本番感動しました.
まず, ある行や列について, 3つ決まればもう1つも決まることに注目します.
なので左上の3×3を任意に埋めたとき, その右や下の6つは埋まります.
問題は右下の一つで, これは上から決まるものと左から決まるものが一致するかわかりません.
しかし実験してみると, いつもそれらが一致することがわかります.
予選なので証明しなくても答えは求まりますが, まあ心の安寧のために証明したい…
とりあえず色を1, 2, 3, 4と置き換えます.
ある{1, 2, 3, 4}上の交換・結合法則を満たす演算があって, 三つの色を演算したらもう一つの色が出てくればうれしいなあと考えました.
するとxorがそれを満たすことに気づきました!感動しました.
xorについては, 排他的論理和 - Wikipediaの「ビットごとの排他的論理和」を参照してください.

問10

本番で結構時間を使ったけど解けなくて, その日に夜遅くまで頑張ったのですが解けませんでした.
12問の中で最も難しいんじゃないですかね…
こーとくさんが解答をTwitterにあげていたので載せます.


反転した後の図形と元の図形が似ているので、それらを対応させながら解き進める感じでしょうか.

問11

本番で全く手を付けてませんでしたがたぶん10~12の中で一番簡単です(どれも難しいけど).
手を付ければよかった…
余りのグラフを書いてみると, だいたい\(2019^3/2\)になりそうだなあと見えてきます. しかし例外ケースみたいなものがあって, それらをしっかりと吟味しなければいけない感じです.
のいみさんが解答をTwitterにあげていたので載せます. DMで会話しながら解いたので同じ解答です:


この解答への補足です:
\( (\gcd(k -1,2019^3),\gcd(k,2019^3))=(g_1,g_2)\)(順序は考えない)として考えられる値が25種類ありますが, すべての考えられる組に対しこれを満たすような\(k\)が存在することを証明します.
\( (g_1,g_2)=(3^a,673^b)(a,b\geq 1)\)の場合, \(x\)についての方程式
\begin{eqnarray}
\begin{cases}
x-1\equiv 3^a \pmod{3^3} & \\
x\equiv 673^b \pmod{673^3} &
\end{cases}
\end{eqnarray}
について考えるとこれは中国剰余定理より\(0\leq x \leq 2019^3\)で解を持ちます. これを\(k\)とおくと, \(k -1\)が673で割り切れないこと, \(k\)が3で割り切れないこともわかるので\( (\gcd(k -1,2019^3),\gcd(k,2019^3))=(g_1,g_2)\)を満たします.
\( (g_1,g_2)=(1,3^a673^b)(a,b\geq 0, (a,b)\neq (0,0))\)のときは\(k=3^a673^b\)が満たします.

問12

これ本番でちょろっと手を付けましたができませんでした.
終わってから数時間がんばったらなんとかできました. どんな\(F\)が満たすのかわくわくしながら解くと面白いです.
とりあえず最初は全体集合とか空集合とかを代入してみます. すると\(F(\emptyset)\)が重要そうだなあとなります.
いろいろ代入してみると, \(F\)は\(F(\emptyset)\)の部分集合の中でいい性質(全単射)を満たすことがわかるので, それ以外の集合を\(F(\emptyset)\)の部分集合に帰着することを考えていきます.
帰着できたらあとは\(F\)を吟味します.
Junさんが解答をTwitterにあげていたので載せます.
解答は長いですが上のようなステップを踏めばだいたい同じ解答になると思います.